季語講座(3)

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草花や食材は旬を詠む

ハウス栽培や養殖技術の進歩によって花や食材の季節感が曖昧になりつつあるけれども、俳句で育まれたそれらは自然な地球環境で最も美しく、且つ美味である「旬」を季感として詠まれてきました。従ってその季語を取り合わせるだけで、補足説明することなくその旬の季節を舞台設定してくれるわけです。

見たままをそのまま写生せよ…という初学者へのヒントがありますが旬の時期がずれた状態のそれを見たまま詠むとおかしな俳句になります。梔子の白い花が枯れて赤錆色になった状態を風情として捉えることもないではないけれど初学のうちはそのような難しい俳句は避けたほうが無難でしょう。

そんな事いわれてもいつもタイムリーな旬の時期に吟行できるとは限らないでしょ!

その通りですね。どはどうしたらいいでしょう。

私の場合はそんなときは旬の季節にタイムスリップして詠みます。過去の体験を記憶の引き出しから呼び起こし連想を働かせて詠むのは虚構ではありません。どれだけ多くの体験が記憶の引き出しに入っているかによって連想力は違ってきますから、足腰の健康が守られている間は貪欲に吟行して旬の体験を蓄えましょう。

連想力を働かせることによって 「枯木に花を咲かせる」 こともまた自在です。

[2018-09-06 10:43]