季語講座(1)

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季語は伝統俳句の生命と言われます。つまり正しい季語の知識を学ぶことが上達への近道であるとも言えます。

この講座は、俳句入門者を対象に書いていこうと思いますが、ベテランの方ももう一度初心に帰ってお読みいただけると嬉しいです。

歳時記はルールブックに非ず

歳時記に掲載されているか否かは一応の判断基準になりますが、特定の歳時記にしか掲載されていない季語もあります。歳時記に載っているから無条件に季語だとも言い切れませんし、載っていないから無季だと決めつけてしまうのも乱暴です。

つるべ落としの日

"つるべ落とし" だけでも季語として載せている歳時記もありますが、青畝先生は、「日」が入っていなければいけないと繰り返しおっしゃいました。 17文字の表現の中で「日」が連想できるように詠むことができていれば、「つるべ落とし」でも季感はありますが、そうでなければそれはただの物理的な表現にすぎません。

森林浴

私の知る限りにおいて、【森林浴:夏の森や林の緑に浸り、涼気と新鮮な空気を楽しむこと】 を季語として載せているのは、角川書店編の季寄せだけです。おそらく春の新緑や初秋の頃でも同じ気分があるので季語として認定しづらいことから他の歳時記からは外れているのだと思います。

つまりは、非常に曖昧な季語だと言えます。ではどうすれば季語として使えるでしょうか?

夏の季語として使いたい場合、涼しさを連想できるように句を構成すればいいですね。春や秋に【森林浴】を使いたいときは、春や秋の季語と組み合わせて使うようにすれば問題ありません。

このように理解できれば、

季語の有無ではなく季感の有無である…

という理屈も納得できるでしょう。

[2018-09-03 12:18]